高木靖之 YAZ

たかぎ・やすゆき
(サックス)

 

サックス奏者YAZ こと高木靖之は、1992年4月に渡米してニューヨーク・ブルックリンに居を構える。
2002年、ニューヨーク・メトロポリタン交通局主催のミュージック・アンダー・ニューヨークのオーデイションに合格し、ニューヨーク市内の地下鉄駅構内で演奏する許可を取得。その際に結成した自分のバンドYAZBANDで定期的に演奏を始める。
YAZBAND は、サックス、キーボード、ベース、ドラムの 4 名編成のバンドで、R&B のカバーや、オリジナル曲を演奏。サックスのエモーショナルなフレーズとダイナミックなパフォーマンス、そして、経験豊富なリズムセクション。ストリートで彼らが演奏をはじめると、みるみるうちに人垣ができた。
その活動が評価され、2005年には日本人として初めてミュージック・アンダー・ニューヨークのオーデイションに審査員として参加。その後も数回審査員を務めている。
地下鉄での演奏以外にも、ニューヨークおよびその近郊のクラブやレストラン、公共機関が主催するイベントや、プライベートパーティなどで演奏をするほか、YAZBANDとして数枚のCDを発表している。
また、ニューヨークの FM ラジオ番組やケーブルテレビへの出演。リンカーンセンターの屋外コンサートやハーレムの「ミントンズ・プレイハウス」、「アポロシアター」にも出演する。さらに韓国ツアーやアリゾナ州のジャズフェスティバルに出演するなど精力的に活動を続けた。
アメリカのテレビ局 FOX5やCBSの番組で紹介されたり、日本のテレビ番組、ガイドブック『地球の歩き方ニューヨーク』、朝日新聞でも紹介されるなど、日米のメディアに頻繁に取り上げられている。
2019年2月、活動の拠点を札幌に移す。

 

ホームページ  https://www.yazband.com/

 

Facebook  https://www.facebook.com/YazBandMusic/

 

PV
https://youtu.be/16ziLEB3HU4

 

YAZ on TV
https://youtu.be/49gpm-JUmPQ

 

YAZBAND live
https://youtu.be/UDzrdj8wn8I

 

*なお、アルバムはアマゾン、 iTunes などでダウンロード販売中。

Interview

「ニューヨークのストリートミュージシャンとして苦節10年」

――ニューヨークから帰国して一年。一周年記念ライブの準備に忙しい高木さんにお話をうかがった。それは苦節10年という言葉がぴったりの波乱に満ちたミュージシャン人生だった。


音楽仲間に僕の音楽修行の話をすると、驚かれることが多いですね。幼い頃から楽器の練習に明け暮れてきた普通のプロ・ミュージシャンに比べると、とにかくスタートが遅かった。なにしろ初めて楽器というものに触れたのは、大学生になってからでしたので。

僕は関西人でして、大阪の枚方市で育ちました。こう見えても結構マジメな少年で、受験勉強なぞを一生懸命にやっていた。ですから音楽は聴くのが専門。父親がジャズ系のレコードをけっこう持っていたので、その影響があったのかも知れません。中校生の頃にハマったのはフュージョン。ボブ・ジェームズ(作編曲、キーボード)とか、映画音楽でも活躍していたラロ・シフリン(作編曲)、デイヴィド・サンボーン(サックス)あたりが好きでしたね。いま思うとCTIレーベルが多かった。

大学に入学して、すっかり解放されてしまったのか、やはり自分でも楽器をやりたくなりました。まず門を叩いたのはブラスバンド部。サンボーンに憧れていたので、アルト・サックスをやりたかったのですが、空きがないということでテナーに。で、始めてみて感じたのが、とにかくみんな上手いということ。中学生くらいからみっちりブラバンをやってきたメンバーばかりで、こりゃあアカンと思った。そこで、人手が足りなさそうな軽音楽部のジャズバンドに移りました。でも、正真正銘の初心者でしたから、来る日も来る日もロングトーンとかの基礎練習ばかり。ちっともカタチになりませんでしたね。

大学を卒業し、大阪に戻って来て就職。でも、楽器をやめることは出来ずに、藤ジャズスクールで教えていらした宮哲之さん(テナーサックス、アロージャズオーケストラ所属等)に弟子入りします。3年ほどスクールに通いました。一緒にセッションやジャズバンドをやる仲間も出来て、アマチュアとして、あちこちで演奏するようにもなりました。そんな中で仲間の一人が、一緒にニューヨークへ行かないかと誘ってくれたのです。音楽修行というよりも当初は、本場で最先端のジャズを聴いてみたいという気持ちが強かった。その誘惑に負けて、仕事を辞め、友人と二人で渡米しました。1992年のことです。

当時は観光ビザで入国すると、滞在期間は最大で6ヵ月。生真面目な友人は半年で帰国したのですが、僕はそのままニューヨークに居残ってしまった。いわゆる不法滞在というやつですね、もう時効だから言っちゃうけど(笑)。周囲にそういうミュージシャンもいっぱいいたし、現在の僕はグリーンカードも貰っていますしね。ニューヨークに残ることを決断したのは、あるテナーマンとの出会いでした。

ある日、休日にセントラルパークで練習していると、白人男性がすたすたと近づいてきて、「そんなフラジオレットじゃあ駄目だ。貸してみろ」と言って流暢にテナーを吹いてくれました。いやーぁ、凄かった。しばらく経って、またセントラルパークで彼を見かけたので、弟子入りをお願いしました。彼の名はロブ・シェップス(Robb Scheps)。日野皓正さん(トランペット)のバンドでツアーをやったり、レコーディングもしていました。彼にも3年間ほど教えてもらいました。あの頃に住んでいたアパートメントは、1階が自動車学校で、その地下が、閉校後の夜になるとサックスが吹き放題。上手くなりたいという気持ちが高揚していたためか毎晩、欠かさずに練習していました。アパートの地下室でメトロノームを前に、孤独な猛練習です。

もちろん、食べてゆかなければなりませんので、レストランの皿洗いのバイトとか、いろいろと働きました。その一方で、なんとかニューヨークの音楽シーンの片隅にでももぐり込みたいというか、わずかでも音楽で稼ぎたいという気持ちも高まりました。しかし、あの街の演奏レベルは猛烈に高い。ジャムセッションに出かけて行っても、簡単に相手になどしてくれません。デモテープを作ってジャズバーなどに持参したところで、受け取ってさえ貰えないこともしばしばでした。

そこで始めたのが、地下鉄の構内で吹くことです。小銭稼ぎにもなりますしね。地下鉄駅の構内で演奏するためには、もちろん、許可が必要なのですが、初めの頃はそんなことも知りませんでした。警察官が来ると、怒られないかとビクビクしたりもしましたが、不思議とストリートミュージシャンには寛大でした。ニューヨークってそういう街なのですよ。初めのうちは53丁目のセヴンスアーヴェニュー駅とか、ワールドトレーディングセンター駅とかで演奏していました。

そんな日々に転機が訪れたのは、例の「9.11」テロ事件でした。その頃は日本人観光客むけの旅行代理店に勤めていたのですが、事件で旅行客が激減したためクビになってしまった。それなら音楽で食べて行ってみようかと。まず手を付けたのは、MUNYのオーディションを受けること。

MUNY(Music Under New York)は公の認証機関で、あの当時の状況はまず300人くらいがデモテープで応募し、オーディションに呼ばれるの50~60人ほど。最終的に許可証を獲得できるのは10~20人(組)という厳しさでした。許可証をもらっても好き勝手に演奏できるわけではありません。スケジュールが決められていて、初めのうちは週に2、3回程度。何年か経ってから、週に3、4回のペースでやらせてもらえるようになりました。ペンステーションや、グランドセントラル駅など、指定された場所でのみ演奏していました。

スタート時には「Yasuyuki Takagi Group」という名称の4人組で始めました。でも、周囲の人たちから「YAZのBAND」、「YAZ BAND」と呼ばれるようになって、それが正式名称になってしまったという経緯です。ちなみにYAZというのは僕の呼び名で、ヤスユキという名前が英語では発音しにくく、いつの間にかヤズと呼ばれるようになっていました。

YAZ BANDはサックス、キーボード、ベース、ドラムスという4人編成のフュージョンバンドです。プロモーションのために録音をしてCDを作ったり、配信したりもしました。レコーディングはフュージョンのスタイルで、まずリズムセクションを録って、それから楽器を重ねてゆくという手法です。バンドのメンバーに宮本慎也さんというバークリー音楽院出身のドラマーがいまして、アレンジなどで随分と助けてもらいました。収録したのはオリジナル楽曲もありますが、ジェームズ・ブラウン、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、ボズ・スキャッグスのソウルフルなナンバーをアレンジしたものがアメリカでは人気です。

そうやって演奏していると、徐々にチップを投げ入れてくれる頻度も増して、なかにはウチで演ってみないかと誘いが来るようにもなった。ニューヨークに来て10年も経っていたのですね。

演奏する場所も当初は地下鉄、そしてライブバー、クラブと少しずつ拡がってくると、FMラジオ局やケーブルTVからも声が掛かるようになりました。プレイを始めたら人垣を作れる自信も出来た。リンカーンセンターの野外コンサート、ミントンズ・プレイハウス、アポロシアターと出演する小屋の規模も大きくなりました。韓国ツアーの敢行やアリゾナ州のジャズフェスティバルに出演したり、FOX5やCBSといったテレビ局の取材が入ったり。また日本では、『地球の歩き方~ニューヨーク』というガイドブックに掲載されたり、朝日新聞が紹介してもくれました。

YAZ BANDのアルバムは3枚つくって、2015年の『HORIZON』が最新になります。この頃になると、そろそろ帰国のことを意識するようになりました。日本ではストレートアヘッドなジャズも演奏するようにしようとの想いから、フォービートのスタンダードナンバーも収録しました。ライブ会場で販売しているCDや、オンラインストアの配信でお聴きいただければ嬉しいです。

26年間に及ぶニューヨーク生活を終えて帰国。縁があって札幌に移住したのが2019年2月10日でした。その一周年を記念して“D-Bop”Jazz ClubでYAZ BAND名義のフュージョンライブを開催させていただきます。もちろん、バンドのメンバーは札幌のミュージシャンたち。凄い音楽性をもったアーティスト揃いです。ぜひ足をお運びください。


――インタビューで語られている一周年記念ライブを聴き逃した音楽ファンには、2月16日に地下鉄東西線・南郷13丁目駅ちかくのMINTONS caféでリターンマッチが用意されている。こちらは高木靖之Quartet名義のライブで、ストレートアヘッドなJAZZライブ。D-BOPへ行かれたファンも、また別の魅力を味わえるライブになりそう。是非こちらもチェックを!

2020年2月10日(月)D-BOP
https://northern-knights.com/live/2020/01/06/d-bop-yaz-band-live-at-d-bop/

2020年2月16日(日)MINTONS café
https://northern-knights.com/live/2020/01/06/mintons-cafe-高木靖之-quartet-live/

Discography

YAZBANDHORIZON

 

 

01. Gettin’ Up Off The Ground

02. Rock With You

03. Deep Into Memory

04. If I Ain’t Got You

05. It’s A Shame

06. Interlude

07. Horizon

08. Flame In The Rain

09. What You Won’t Do For Love

10. People Make The World Go Round

11.  Stella By Starlight

12. Closing

 

 

YAZ (ts)、John Roggie (key)、Eric Smith (key) 、Wayne Holmes (key) 、Mamiko Watanabe (key) 、Debbie Knapper (g) 、Jameison Ledonio (g) 、Nobuki Takamen (g) 、Tetsuya Sato(b)、Yoshiki Yamada (b) 、Takahiro Sokusai (b)、Tomoaki Kanno (ds) 、Hiroyuki Matsuura (ds)、Shinya Miyamoto (ds)

 

 

(2015年)

YAZBAND All for Love : Best of YAZBAND

 

 

01. Soulful Strut

02. All I Do

03. For The Love Of You

04. Love The One You’re With

05. Boogie Oogie Oogie

06. Medley / Let’s Groove – September

07. What’s Goin’ On

08. As

09. Shining Star

10. Higher Ground

11.  Isn’t She Lovely

12. Fantasy

13.  Don’t You Worry ‘Bout A Thing [Live]

 

 

YAZ (ts)、Eric Smith (key)、Rema Hasumi (key) 、Debbie Knapper (g) 、Mike Toress (g) 、

Tak Sokusai (b) 、Sly Geralds (b)、Tomo Kanno (ds) 、Dave Dawson (ds)、Shinya Miyamoto (ds)

 

 

(2012年)

YAZBAND 『You Can’t Say It In Public

 

 

01. You Can’t Say It In Public

02. Cold Sweat

03. First And Goal

04. Dolphin Dance

05. Low Down

06. Rush Hour

07. Thirty

08. Bridge Over Purple Sky

09.  I Wish

10. Airport

11. Sweet Smell Of Love

12. Every Thought Is Of You

13. You Can’t Say It In Public (extended version)

 

 

YAZ (ts)、Eric Smith (key)、Takeshi Hiwatari (g)、Eiji Obata (g) 、Mike Toress (g) 、Debbie Knapper (g) 、Tak Sokusai (b) 、Sly Geralds (b)、Iyasu Nagata (b)、Dave Dawson (ds)、Shinya Miyamoto (ds)、

Tomo Kanno (ds)

 

 

(2011年)